さまざまなゲームやアニメで美しい神として描かれているフレイヤ。
愛の女神と言われているフレイヤですが、実は意外な一面を持つ神だったのです!
北欧神話で超有名なオーディンやトールとの関係はどのようなものだったのでしょうか?
フレイヤとはどのような神なのか?
フレイヤは万人を魅了する容姿を持つ、北欧神話でもっとも美しい愛の女神。
北欧神話ではオーディン、トールを始めとする「アース神族」が有名ですが、フレイヤは「ヴァン神族」の一人。
アース神族とヴァン神族はなにかと対立することが多く、いざこざが絶えない関係でした。
フレイヤの父親はヴァン神族で海の神とされているニョルズ、兄弟にこれまた美神の双子の兄フレイがいます。
母親は巨人族のスカジとも、ニョルズの妹とも説があり、こちらははっきりとしていません。
フレイヤは豊穣の神として、兄のフレイとともに重要な神としてたたえられていました。
しかし!
このフレイヤ、実はそんなにきれいな神ではなかったのです!
北欧神話に登場する神といえば、そのほとんどがアース神族の神で、ヴァン神族は少し日陰のような存在ですが、実はヴァン神族はアース神族にはない力を持っていました。
ヴァン神族は魔法を使うことに優れており、なかでも「セイズ」と呼ばれる魔術は、アース神族との戦争が勃発する原因となった魔術でもあります。
セイズとは、シャーマンのように神や精霊を呼び出したり、自身がトランス状態になり、遠方まで意識を飛ばし、さまざまな情報や知識を得ることができる、とっても便利な術なのです。
が!
これには少し問題があり、実は術を使うことにより性的な快楽を伴うため、おもに女性はこの快楽を得るために使っていたという節があります。
フレイヤもこのセイズを使うことができ、しかもかなりの使い手。
そのためのちにある人物にこのセイズを伝授することになります。
フレイヤは性的にかなりルーズなところがあり、父親のニョルズや兄のフレイはもちろんのこと、欲しいものを得るためには体を捧げることをいとわない女神だったのです!!
フレイヤとトールの関係は?
ミョルニルがトールの武器だというのは有名な話ですよね?
どのようにできたかというと、こちらのトールのお話をご参照ください。
このミョルニルを作ったドワーフたちは、フレイヤが欲しがる首飾りも作り出していました。
それが黄金の首飾り「ブリージンガメン」です。
これをつけると神をも魅了することができるという品物。
(ゲームでこれに魅了されると、仲間を攻撃し始めるから厄介なものです…)
おしゃれできれいな物が大好きなフレイヤがだまっているはずがありませんよね。
この首飾りは4人のドワーフによって作られており、これと引き換えにドワーフたちはそれぞれフレイヤと夜を共にすることを条件にしたのです。
どうしても欲しいフレイヤはこの条件を受け入れ、4人と性的な関係を持ったのです。
知識が欲しくて左目を差し出したオーディンに比べると、損害は少ないのか…?
(オーディンのお話はこちらで)
こうして手に入れた首飾りを胸に、光輝く愛の神、フレイヤが出来上がったのでした。
ちょっとフレイヤを見る目が変わりませんか?
少しふしだらなところがあるフレイヤですが、実は結婚していて、ちゃんとした夫がいたのです。
フレイヤの夫はオーズという人物で、詳細は不明ですが、なぜかこのオーズ、ある時一人旅にでかけました。
フレイヤは最愛の夫、オーズを捜して世界中放浪の旅に出ました。
オーズを思って涙をすれば、その涙が黄金に変わるという、さすが豊穣の女神といわれるだけありますね。
無事にオーズとの再会を果たすのですが、実はオーズの家出の原因は、フレイヤの浮気にあったのです。
誰からも愛されるフレイヤは、愛情もたっぷりだったのですね。
フレイヤには何人もの愛人がおり、あのトールやロキもフレイヤの愛人の一人だったのです!
結局オーズはフレイヤの浮気に耐えられず、離婚することになりました。
愛の女神が実は離婚していた、というのは、なんとも皮肉な話ですよね…
そんなフレイヤですが、実はある人物と同一人物なのでは?
という疑惑があるのです。
謎の魔女、グルヴェイグとは?
その人物というのが、黄金を意味する「グルヴェイグ」。
グルヴェイグもまたヴァン神族の一人で、ある日アース神族にもとへ行き、アース神族の女神たちにセイズを広めます。
セイズを知ったアース神族の女神たちは、今までまじめに過ごしていたのに、性的快感に溺れてしまったのです。
このことを知ったオーディンは、元凶となったグルヴェイグを自慢の武器グンニグルで突き刺しました。
しかし!
グンニグルで突き刺されたにもかかわらず、グルヴェイグはなんと死ななかったのです。
北欧神話最高神と言われるオーディンが、たった一人の無抵抗な女を殺せなかったのです。
焦りますよね~。
むきになったオーディンは、2度3度と槍を向けますが、どうしたことでしょう?
何度刺されてもグルヴェイグは倒れることがなかったのです。
これこそがセイズの本当の力なのか!?
セイズのおかげかどうかは明らかではありませんが、アース神族にとってはなじみのない魔術ですので、幻覚を見せられていたのではないかと勝手に思っています。
しかしこのオーディンの行動が、ヴァン神族を怒らせてしまったのです。
結果はどうであれ、仲間が何度も殺されそうになった、というのはおもしろいことではないですよね。
前からアース神族とヴァン神族は小さな争い事が絶えなかったのですが、グルヴェイグがきっかけになり、神VS神の全面戦争へと発展していきました。
この戦争の引き金になったグルヴェイグが、実はフレイヤだったというのが有力な説となっています。
アース神族VSヴァン神族の結末
神族同士の戦争によりどちらも多大な被害が出てしまいました。
これ以上続けても終わりが見えない、ということで、2つの神族は平和協定を結ぶことにしました。
その協定というのがそれぞれの神族から人質を交換するというもの。
その際にフレイヤと父のニョルズ、兄のフレイはアース神族側に引き渡され、その後アースガルド(アース神族の国)で暮らすことになったのです。
アースガルドで暮らし始めたフレイヤですが、そこにオーディンが近づいてきます。
グルヴェイグのセイズのせいで混乱が引き起こされたアースガルドですが、実はオーディン、セイズに興味深々だったのです。
性的快感はともかく、動かずして情報や知識を得られるなんて、貪欲なオーディンが惹かれるのも無理ありません。
「アースガルドではアース神族に従え」
と言わんばかりに、オーディンはフレイヤからセイズを学ぶことになりました。
その後もフレイヤはオーディンの片腕として、ヴァルハラに死者の魂を呼び集めるというお仕事もしていました。
そのため「死の女神」と呼ばれることもあり、オーディンとともに、来るべきラグナロクに備えてヴァルハラで兵力を強化する任務についていました。
こうしてフレイヤはヴァン神族ながら、アースガルドで重要な働きをする人物となったのです。
まとめ
北欧神話ではあまり知られていないヴァン神族の一人、フレイヤのお話でした。
愛の女神だというので、てっきり純真無垢な女神を想像していましたが、少し違いました。
北欧神話には実は2つの神族があり、その対立もあったというもの面白いですね。
神族と巨人、神族と神族、さまざまな争いから終末ラグナロクへとつながっていっているようですね。
ラグナロクの際にはフレイヤはどのような活躍を見せるのでしょうか?